花を望む者

「何を、見ている?」
 街角の木々を見上げる少年が気になり、思わず尋ねる。
「あの、枝」
 不躾な禎理の問いに答えてくれた少年が指差すその先にある木の枝を、禎理もそっと見上げた。
 その枝にあるのは、小さく白い花が幾つか。おそらくその花が欲しいのであろう、花と枝を見つめ続ける少年に、禎理は息を吐いた。禎理の短刀の腕ならば、あの花を散らさず枝を切り落とすことは、可能。だが、それをしてしまえば、あの花は、散って実を成すことができない。
「何故?」
 再び、少年に尋ねる。
「病気の、姉様に」
 少年の言葉に、微笑む。それならば、禎理が姉を背負ってここにくれば良いだけの話。禎理の提案に、少年は目を丸くし、そして小さく微笑んだ。

(終)
2017.4.1.  風城国子智(作者の現状と若干の注意)

WindingWind 風城国子智