渡されたもの、渡すもの

 横から覆い被さってきた影を、手の中の刃で叩き切る。
 これも全部、あいつの所為。ズボンのポケットの中にある小さな包みを確かめながら、次々と現れる影を叩きのめす。いい加減、消えてほしい。そう思った次の瞬間、深紅のスカートが翻った。
「ありがとう、晶」
 一息で影達を消し去った笑顔に、渡された包みを返す。
「君に似合うと思ったんだけど、解呪に手間取っちゃって」
 晶の幼馴染み、優の手の中で、包みの中の粘土球が宝石付きの指輪に変わった。
「男性から女性に渡す、で、間違って、ない、よね」
 そこは、合っている、けど。全ての文句を心の奥底に押さえ込む。晶の左薬指に冷たい金属を嵌める優の細い指に、晶は小さく笑った。

(終)
2017.7.1.  風城国子智(作者の現状と若干の注意)

WindingWind 風城国子智